スペイン・トレド在住の河合妙子さん

2011 年最初の「ひと・人@広場」は、スペイン・トレドで、ライター、フォトグラファー、コーディネーターとしてご活躍の河合妙子さんにご登場いただきました。

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【やほい】新年明けましておめでとうございます。この年末年始は、いかがでしたか?

【妙子】もう新年ですね!今年もよろしくお願いします。昨年、スペインで出版社「SCRIPTORIA(スクリプトリア)」を立ち上げ、年末に新刊を出版し、その会見プロデュースや披露パーティー、販促などで慌しかったんですが、どうにか1、2日は家でゆっくりしました。

【やほい】まあ、出版社を? どんな本を出版されたのですか?

【妙子】『ODEHLOT(オデロット)-トレドの魔法を探せ!』というタイトルのガイド本です。トレドには、秘宝として名高い「ソロモン王の机」が隠されているという伝説があり、読者は登場人物の中から自分のアバターを選び、「黄金ルート」と「銀ルート」を辿って謎解きをしながら、それを探しだすという構成で、遊びながら、2000年もの歴史遺産の溢れるトレドという街を学べる素敵な本です。表紙を始め、私の写真も随所に使用されています。この仕事に携わっている間、グラフィック・デザインやレイアウトも手掛けた著者のホセ・カルロス・シェニ・バセルの気魄に圧倒されっぱなしでした。

『ODEHLOT(オデロット)-トレドの魔法を探せ!』出版記念記者会見とパーティーの案内

同書ページの一部分

『ODEHLOT(オデロット)-トレドの魔法を探せ!』出版披露パーティーにて。
中央の笑顔の男性が著者のホセ・カルロス・シェニ・バセル。

『ODEHLOT(オデロット)-トレドの魔法を探せ!』出版会見の模様。

【やほい】世界中が不況に喘ぐこの時期に出版社と言うのも、また面白いですね。

【妙子】出版社を作ったのは、出版事業者としてこちらの税務署に登録しておくことで、いつでも自由に自分のやりたい本・雑誌が製作できるからです。日本語の出版物もいずれ扱いたいですし。出版事業とともに、トレドの観光を支援する会社「Kimi Planet」も事業登録しています。

【やほい】トレドの観光支援?詳しく教えていただけますか?

【妙子】この街は世界遺産登録都市なので、観光客は日本をはじめ世界中から来るのですが、マドリードから1時間足らずという場所にあるため、ツアーでは、次の場所に行く途中に立ち寄るというパターンがほとんどなのです。トレドの魅力はそんな短い時間で味わえきれるものではないし、夜も街燈に照らされた石畳や煉瓦のモニュメントが美しいのに。

8年前に来て以来、私はこの町の家やパティオ、ライフスタイルについて日本の雑誌やムックに執筆や連載をしていたのですが、道行く日本人から「トレドがこんなに素敵な町だと知っていたら、ここに泊るんだった」という言葉を何度も聞かされ、「この街をちゃんと紹介する仕事をしなくては」と思うようになり、トレド市役所やトレドの商工会議所などと意見も交わしながら、記者・写真家としてできる形を探したのです。幸い、役所をはじめ多くの仲間や協力者に恵まれていますので、他では味わえない良質な旅行プランをご提供できると確信しています。現在は準備中ですが、基礎固めにはしっかり時間をかけたいと思っています。

【やほい】差し支えなければトレドにたどり着くまでの経緯を教えていただけますか?

【妙子】TV番組の「オールナイト・フジ」や雑誌「JJ」が人気で、おしゃれでリッチな大学生が全盛期だった80年代、私も東京のスペイン系カトリック大学の女子大生でした。欧米旅行が流行っていましたが、「ヨーロッパは大人になったらいつでも行けるけど、アジアは今しか行けないから!」と、欧米にはあまり目を向けず、タイやフィリピン、台湾界隈をうろうろし、インドやマレー半島もよく旅行しました。

大学を卒業してすぐに台湾で中国語を学び、東京で10年近く会社勤めをしてから、再び台湾へ行き、大学院でジャーナリズムを専攻しました。その後、研究でパリに2年住んでから、スペインに来ました。

実は大学4年生の時に聖書を読みふけり、「自分の力って、限界があるんだなぁ。自分の力で何でもできると思っていると、人生失敗するなあ」と、いきなり謙虚な気持ちになったことがあります。結局今、こうして教会のたくさんあるトレドに住んでいることに、不思議な縁があるような、運命的なインスピレーションを感じています。

【やほい】ずばり、スペイン、またはトレドの魅力といったら?

【妙子】人間が面白いことです。感性や才能が優れている人がたくさんいるんです。スペインは、サッカー、テニス、F1、オートバイのモトGP、バスケットなど、スポーツでは世界一流。美術界にはダリ、ピカソ、ベラスケス、ゴヤという巨匠がいます。フラメンコなど音楽も独特。この背景に、アラブ、ユダヤ、カトリックにゲルマン系の西ゴートや古代ローマ、そしてケルトなど、様々な文化や民族が混ざり、多くの争いや内戦を乗り越えて来たダイナミックな精神があるんですね。そのせいか、知恵やことわざも豊富で、「人間を良く知っている国」、そして、「強くて優しい人々」という印象を持っています。

【やほい】妙子さんは、執筆から翻訳、コーディネーションなど、なんでもこなされるんですよね。

【妙子】はい。好きな分野だということもありますが、1人で仕事を進めていくうちに身に付いてしまいました。写真は、東京で写真通信社に勤めていた時期に独学し、一眼レフで撮影したフィルムを自分で現像していましたが、仕事柄、写真家が世の中に溢れていることを知っていたから、写真家を目指したことはありませんでした。まさか今、この仕事で食べているなんて(笑)。

私の会社「Kimi Planet」では、これまでの取材・コーディネートがさらにしやすくなった上、日本の取材・広告陣のアテントもスムーズに運営できるようになりましたので、スペインで取材や広告撮影などを考えているすべての方々に、ぜひ利用していただきたいと思っています。

▼現在連載中のブログ「モダンフォルム オフィシャルウェブサイト~海外インテリア・ブログ」

▼トレドを紹介している「セディナ・カード」の公式HP (1月UP予定)

【やほい】最近は、トレド市の公式HPの日本語翻訳をされたと伺いましたが、大変な作業だったそうですね。

【妙子】スペイン語と日本語併せて800ページ以上の分量でしたが、関わったのは、翻訳・校正係の私とスペイン人のウェブ担当者2人だけ。昨年の5月から始め、10月に全ページの翻訳が終わりました。現在は校正中ですが、完全な文章になるにはまだ時間がかかります。夏は気温が40度以上もある中、朝から晩まで家に籠って仕事していたので、よく頭がもうろうとしていました(笑)。

トレド市役所 公式HP記者会見の模様を伝える現地の新聞

【やほい】妙子さんはスペインだけにとどまらず、フットワーク軽く近隣のどの国にでも出向いてお仕事されているようですが、今までに楽しかった仕事とかやりがいのあったお仕事はどんなのですか?

【妙子】これまで取材で、台湾、スペインのほか、パリ、ロンドン、フィンランド、スウェーデン、モロッコ、ブルキナファソ、アンドラなどを訪れました。どの仕事も楽しく、すべてによい思い出があります。パリやフィンランドでは広場の仲間も助けてくれたり、オフ会を開いてくれたりと、この会の温かい繋がりを本当にありがたく感じました。

初の著作『パリのおさんぽ~パリの小道巡り』(扶桑社)では、地下鉄2番線とバス85線から見えてくるパリというアイデアも、コーディネートも、写真・文章も全て私という大役をいただきました。その時はすでにスペインに住んでいたのですが、フランス政府観光局から取材許可書をいただき、パリにアパートを借りて街をくまなく歩き回ったので、以前住んでいた時よりもパリについて詳しくなりました。

私の取材の特徴のひとつは、中、仏、西、英語でコミュニケーションが取れることです。中国人の店は中国語で、ラテン系の店はスペイン語で話すと、オーナーたちは心を開いてくれて、皆、すごく親切にしてくれます。英語はやっぱり国際語ですね。多くの場所や人々に通用するので、勉強しておいてよかったと思います。

【やほい】言葉を知っているということは、文化や習慣などにも洞察が深いということですから、より深い相互理解が可能となりますものね。すばらしいことです。

【妙子】違う言語を話せるようになるのは、勉強量と時間の問題ですが、わからない言葉でも相手の話を聞きながら「勘を研ぎ澄ます」ことこそ、実は最も大切なことだと思います。私自身、どの言葉も、あまり喋れなかったとき、相手の心を読む訓練を知らぬ間に積んでいたような気がします。

【やほい】お話はつきませんが、今回はこの辺で。いろんなお話を聞かせて下さり、ありがとうございました。さらなるご活躍を楽しみにしています。

http://mediahiroba.com/wp-content/uploads/taeko8-490x225.jpghttp://mediahiroba.com/wp-content/uploads/taeko8-490x225-150x150.jpgyahoiひと・人@広場スペイン・トレド在住の河合妙子さん 2011 年最初の「ひと・人@広場」は、スペイン・トレドで、ライター、フォトグラファー、コーディネーターとしてご活躍の河合妙子さんにご登場いただきました。 ========================================= 【やほい】新年明けましておめでとうございます。この年末年始は、いかがでしたか? 【妙子】もう新年ですね!今年もよろしくお願いします。昨年、スペインで出版社「SCRIPTORIA(スクリプトリア)」を立ち上げ、年末に新刊を出版し、その会見プロデュースや披露パーティー、販促などで慌しかったんですが、どうにか1、2日は家でゆっくりしました。 【やほい】まあ、出版社を? どんな本を出版されたのですか? 【妙子】『ODEHLOT(オデロット)-トレドの魔法を探せ!』というタイトルのガイド本です。トレドには、秘宝として名高い「ソロモン王の机」が隠されているという伝説があり、読者は登場人物の中から自分のアバターを選び、「黄金ルート」と「銀ルート」を辿って謎解きをしながら、それを探しだすという構成で、遊びながら、2000年もの歴史遺産の溢れるトレドという街を学べる素敵な本です。表紙を始め、私の写真も随所に使用されています。この仕事に携わっている間、グラフィック・デザインやレイアウトも手掛けた著者のホセ・カルロス・シェニ・バセルの気魄に圧倒されっぱなしでした。 『ODEHLOT(オデロット)-トレドの魔法を探せ!』出版記念記者会見とパーティーの案内 同書ページの一部分 『ODEHLOT(オデロット)-トレドの魔法を探せ!』出版披露パーティーにて。 中央の笑顔の男性が著者のホセ・カルロス・シェニ・バセル。 『ODEHLOT(オデロット)-トレドの魔法を探せ!』出版会見の模様。 【やほい】世界中が不況に喘ぐこの時期に出版社と言うのも、また面白いですね。 【妙子】出版社を作ったのは、出版事業者としてこちらの税務署に登録しておくことで、いつでも自由に自分のやりたい本・雑誌が製作できるからです。日本語の出版物もいずれ扱いたいですし。出版事業とともに、トレドの観光を支援する会社「Kimi Planet」も事業登録しています。 【やほい】トレドの観光支援?詳しく教えていただけますか? 【妙子】この街は世界遺産登録都市なので、観光客は日本をはじめ世界中から来るのですが、マドリードから1時間足らずという場所にあるため、ツアーでは、次の場所に行く途中に立ち寄るというパターンがほとんどなのです。トレドの魅力はそんな短い時間で味わえきれるものではないし、夜も街燈に照らされた石畳や煉瓦のモニュメントが美しいのに。 8年前に来て以来、私はこの町の家やパティオ、ライフスタイルについて日本の雑誌やムックに執筆や連載をしていたのですが、道行く日本人から「トレドがこんなに素敵な町だと知っていたら、ここに泊るんだった」という言葉を何度も聞かされ、「この街をちゃんと紹介する仕事をしなくては」と思うようになり、トレド市役所やトレドの商工会議所などと意見も交わしながら、記者・写真家としてできる形を探したのです。幸い、役所をはじめ多くの仲間や協力者に恵まれていますので、他では味わえない良質な旅行プランをご提供できると確信しています。現在は準備中ですが、基礎固めにはしっかり時間をかけたいと思っています。 【やほい】差し支えなければトレドにたどり着くまでの経緯を教えていただけますか? 【妙子】TV番組の「オールナイト・フジ」や雑誌「JJ」が人気で、おしゃれでリッチな大学生が全盛期だった80年代、私も東京のスペイン系カトリック大学の女子大生でした。欧米旅行が流行っていましたが、「ヨーロッパは大人になったらいつでも行けるけど、アジアは今しか行けないから!」と、欧米にはあまり目を向けず、タイやフィリピン、台湾界隈をうろうろし、インドやマレー半島もよく旅行しました。 大学を卒業してすぐに台湾で中国語を学び、東京で10年近く会社勤めをしてから、再び台湾へ行き、大学院でジャーナリズムを専攻しました。その後、研究でパリに2年住んでから、スペインに来ました。 実は大学4年生の時に聖書を読みふけり、「自分の力って、限界があるんだなぁ。自分の力で何でもできると思っていると、人生失敗するなあ」と、いきなり謙虚な気持ちになったことがあります。結局今、こうして教会のたくさんあるトレドに住んでいることに、不思議な縁があるような、運命的なインスピレーションを感じています。 【やほい】ずばり、スペイン、またはトレドの魅力といったら? 【妙子】人間が面白いことです。感性や才能が優れている人がたくさんいるんです。スペインは、サッカー、テニス、F1、オートバイのモトGP、バスケットなど、スポーツでは世界一流。美術界にはダリ、ピカソ、ベラスケス、ゴヤという巨匠がいます。フラメンコなど音楽も独特。この背景に、アラブ、ユダヤ、カトリックにゲルマン系の西ゴートや古代ローマ、そしてケルトなど、様々な文化や民族が混ざり、多くの争いや内戦を乗り越えて来たダイナミックな精神があるんですね。そのせいか、知恵やことわざも豊富で、「人間を良く知っている国」、そして、「強くて優しい人々」という印象を持っています。 【やほい】妙子さんは、執筆から翻訳、コーディネーションなど、なんでもこなされるんですよね。 【妙子】はい。好きな分野だということもありますが、1人で仕事を進めていくうちに身に付いてしまいました。写真は、東京で写真通信社に勤めていた時期に独学し、一眼レフで撮影したフィルムを自分で現像していましたが、仕事柄、写真家が世の中に溢れていることを知っていたから、写真家を目指したことはありませんでした。まさか今、この仕事で食べているなんて(笑)。 私の会社「Kimi Planet」では、これまでの取材・コーディネートがさらにしやすくなった上、日本の取材・広告陣のアテントもスムーズに運営できるようになりましたので、スペインで取材や広告撮影などを考えているすべての方々に、ぜひ利用していただきたいと思っています。 ▼現在連載中のブログ「モダンフォルム オフィシャルウェブサイト~海外インテリア・ブログ」 ▼トレドを紹介している「セディナ・カード」の公式HP (1月UP予定) 【やほい】最近は、トレド市の公式HPの日本語翻訳をされたと伺いましたが、大変な作業だったそうですね。 【妙子】スペイン語と日本語併せて800ページ以上の分量でしたが、関わったのは、翻訳・校正係の私とスペイン人のウェブ担当者2人だけ。昨年の5月から始め、10月に全ページの翻訳が終わりました。現在は校正中ですが、完全な文章になるにはまだ時間がかかります。夏は気温が40度以上もある中、朝から晩まで家に籠って仕事していたので、よく頭がもうろうとしていました(笑)。 ▼トレド市役所 公式HP ▼記者会見の模様を伝える現地の新聞 【やほい】妙子さんはスペインだけにとどまらず、フットワーク軽く近隣のどの国にでも出向いてお仕事されているようですが、今までに楽しかった仕事とかやりがいのあったお仕事はどんなのですか? 【妙子】これまで取材で、台湾、スペインのほか、パリ、ロンドン、フィンランド、スウェーデン、モロッコ、ブルキナファソ、アンドラなどを訪れました。どの仕事も楽しく、すべてによい思い出があります。パリやフィンランドでは広場の仲間も助けてくれたり、オフ会を開いてくれたりと、この会の温かい繋がりを本当にありがたく感じました。 初の著作『パリのおさんぽ~パリの小道巡り』(扶桑社)では、地下鉄2番線とバス85線から見えてくるパリというアイデアも、コーディネートも、写真・文章も全て私という大役をいただきました。その時はすでにスペインに住んでいたのですが、フランス政府観光局から取材許可書をいただき、パリにアパートを借りて街をくまなく歩き回ったので、以前住んでいた時よりもパリについて詳しくなりました。 私の取材の特徴のひとつは、中、仏、西、英語でコミュニケーションが取れることです。中国人の店は中国語で、ラテン系の店はスペイン語で話すと、オーナーたちは心を開いてくれて、皆、すごく親切にしてくれます。英語はやっぱり国際語ですね。多くの場所や人々に通用するので、勉強しておいてよかったと思います。 【やほい】言葉を知っているということは、文化や習慣などにも洞察が深いということですから、より深い相互理解が可能となりますものね。すばらしいことです。 【妙子】違う言語を話せるようになるのは、勉強量と時間の問題ですが、わからない言葉でも相手の話を聞きながら「勘を研ぎ澄ます」ことこそ、実は最も大切なことだと思います。私自身、どの言葉も、あまり喋れなかったとき、相手の心を読む訓練を知らぬ間に積んでいたような気がします。 【やほい】お話はつきませんが、今回はこの辺で。いろんなお話を聞かせて下さり、ありがとうございました。さらなるご活躍を楽しみにしています。海外事情に詳しい、海外在住のライター、メディア・コーディネーター、フォトグラファー、トランスレーター(通訳、アテンド)を探す、繋がるサイト