13:アフリカ・ギニアの伝統文化に魅せられて!/バー由美子

yumiko_guinea今回「人・ひと@広場」は、初のアフリカ大陸から! 2010年よりギニア人の夫、二人のお子さんと共にギニアに移住し、ギニア流の暮らしを楽しみながらキラキラ活動中のバー由美子さんです。

 【やほい】
多くの日本人にとって、ギニア共和国と聞いてもあまりピンと来ないと思いますので、まずはギニアがどんな国なのかと、由美子さんがなぜ今ギニアで暮らしているのか簡単に経緯を教えていただけますか?

【由美子】
はい、ギニアはアフリカ大陸の中でもいちばん左側の出っ張った海沿い、赤道の少し上に位置しています。神奈川県に似た形で、国土面積は本州とほぼ同じで、海、山や河、その土地ごとで全く違った壮大な自然に恵まれていて、カラフルなトカゲ、珍しい野鳥類、チンパンジーなど多くの霊長類もいるんですよ。

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椰子の木/美しい野鳥/カラフルなトカゲ

私の暮らす、首都コナクリは、海に面したところには椰子の木も多く見られるので一見ハワイっぽい感じですが、ちょっと内地に入ればマンゴーの木が所々に生えていて、緑がいっぱいです。そして、坂が多くてその先にはマングローブの森が広がり大きな河が見えます。豊富な魚介類にも恵まれていて漁業が盛んでマルシェにはいろいろな種類の魚が並び、鯛、サバなど日本でもお馴染みの魚も沢山あります。港では、魚漁用の小舟がズラッと並び、その横ではマダム達が魚やカニを販売したり、ナマズやその他いろいろな種類の魚の燻製を作る人々がいます。

【やほい】
椰子の木、マンゴーの木、マングローブ、小舟の横で魚介類の販売と聞いてかなりイメージ湧いてきました。気候はどうなのですか?

【由美子】
気候は一年中夏の陽気ですが、大雨が降る5月〜11月の雨季は比較的涼しく、全く雨が降らない12月〜4月の乾燥して暑い乾季に分かれます。いつも暑いですが日本の夏よりは全然過ごしやすいです。

【やほい】
わたしもかつて赤道近くの常夏の国に住んでいたことがあるので、シーブリーズを感じられるからっとした暑さは想像できます。今、ほぼ毎日グレースカイで寒いところに住んでいるので羨ましいです。陽射しが眩しい国って、文化にも表れますよね。

【由美子】
そうなんです。一言で言えばギニアはとても“カラフル”です。人々は基本的には、仕立て屋でオーダーメイドで作った民族衣装を身につけているのですが、女性の普段着はタンクトップと腰にはアフリカの布を巻いています。それは伝統的なアフリカ柄のものなので、真っ青な大きな空、海、街中にあふれる国旗の色であるラスタカラーなどと混ざり合い、独特な雰囲気がかもし出されます。加えてマンゴーやヤシの木、ブーゲンビリアの色鮮やかな花などがさらに、彩りを添えるので、整備されていない街やボロボロの家でも、それなりに風格や情緒を感じることができて愛着も湧いてくるのです。

仕立て屋さん/布やさんのマダム

【やほい】
キラキラとした陽気なイメージがどんどん伝わってきます。言葉は何語なのですか?

【由美子】
1958年にフランスからギニア共和国として独立したので公用語はフランス語です。でも、ギニアはいろんな民族が共存していて、私が知ってるだけで、スス、マリンケ、プル、ゲルゼー、トーマ、キシ族などあるのですが、少なくとも20以上の民族がいるそうなのです。なので、家庭、友人たちとは各部族後を話し、学校ではフランス語という感じですが、部族語はまったく異なる言葉だし、伝統の服装や髪型、生活様式もそれぞれの部族によって違うのです。

【やほい】
それはおもしろいですね。だとすると、ひとくちにギニア人と言ってもどの部族に属しているかで言葉も文化も違うってことになるわけですね。

では、宗教的にはどうなのでしょう?

【由美子】
国民のほとんどがイスラム教です。街にはモスクがたくさんあり、祈りの時間になると祈り用の絨毯を持って祈りにいく人たちが近所をぞろぞろ歩いています。モスクが近所にない人たちが庭の一角に絨毯を敷き祈っている様子もよくみます。マルシェでも祈りの時間になると地面に絨毯を敷き祈り始めるので、買い物に行っても、それが始まるとお客さんはその間待つしかありません。

少数のクリスチャンも存在し、そのほとんどがギニア森林地方の民族、トーマ族、ゲルゼー族などのフォレテール族の人たちです。コナクリ市内にはそういう人の為の教会も数多くあります。そしてイスラム、キリスト教を信仰する人たちは、同時に土着信仰をしており、薬草、動物、その他を使った魔術よる治療や呪術が盛んです。

【やほい】
教祖、経典に従う既存宗教と土着信仰が同時というのは興味深いです。おもしろいエピソードや経験がたくさんありそうですね。いつかじっくり聞きたいです。

 食生活も信仰にあわせて部族ごとにちがうのかしら?

【由美子】
はい、それぞれ違うようです。それぞれの部族ならではの食材やメニューがあるようです。特に特徴があるのが、フォレステール族の人たちはチンパンジーを牛やチキンと同じように食します。それは普通に食べるスープに入れて食べます。そして、フラ族の人たちは割と淡白な味付けだったり、マリンケ族の人たちは辛い味付けをすると聞いたことがあります。

【やほい】
えええっ~! チンパンジー!!? それは驚きですネ。チンパンジーとわかっていたら、わたしなら食べるの無理かも……。

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調理中です

【由美子】
(笑)。幸い、信仰に関係なくギニア全体としては、基本的に米が主食なので私にとってはありがたいです。米はギニアでも生産されていますが、アジアからの輸入米が多く販売されています。食べ方としては、日本のカレーライスのような感じなのですが、ソースがカレーではなく、トマト風味、サツマイモの葉、ピーナッツ入りのソース、玉ねぎのソースとだいたい4種類のソースが主流です。具は主に魚、チキンや牛肉は特別な時に食べるくらいで、日本のようにメニューのバリエーションはありません。毎日その日に使う分だけの食材をマルシェに買いに行き、炭をおこし調理をするため、時間がかかるので、昼に作ったご飯を夜も食べるというのが一般的で、昼と夕食が違うメニューという事はほとんどありません。

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ギニア料理

バナナ、パイナップル、マンゴー、オレンジなどのフルーツやナッツは豊富にあるのでおやつ代わりに皆よく食べています。

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路上でバナナやレモンを売る女の子たち/豊富なフルーツ

【やほい】
それらのおやつは調理が要らないし、安くて、栄養があるので便利ですよね。わたしも常夏の国サモアに住んでいたころ、子どものおやつはそういうものを食べさせていました。買わずとも庭に大きなマンゴーの木があり、拾えば食べられましたから。常夏の気候で肥沃な土地があるところは、経済的にいくら貧しくとも、凍えたり飢える心配がないのはいいことですよね。

【由美子】
まぁそうです。ギニアでは、ボーキサイト、金、ダイヤモンドなどの鉱物、水、肥沃な土地、素晴らしい資源を持ち、パイナップル、バナナ、ピーナッツ、コーヒーなど多くの農産物が生産されてはいるのですが、豊富な資源は海外に持ち出され、国民には還元されていないのが実情です。

政治的にも不安定なため、仕事が無く人々の暮らしは安定せず、国民の暮らしは常に貧しいです。実際、世界の貧困国ランキングでは、貧困国10位には必ず入るという残念な現状です。

【やほい】
資源があるのに国民の暮らしは貧しさから脱出できないというのはジレンマですね。

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ローカルマーケット

【由美子】
ほんとうに。貧富の差が激しく収入に対して物価が高すぎるのです。実際、ビバリーヒルズのような豪邸で暮らす人々と、スラムのようなボロボロのトタン屋根の家で暮らす人々の生活の差がすごいです。貧しい人のほうが多いから今はまだいいのかもしれませんが、度重なる政情不安の為、国内での産業が全くないと言っても過言ではないので、人々は仕事を得ることが困難です。

仕事があったとしても収入はとても低く、それに対して物価は極端に高いのです。

例えば家政婦として働いた女性の月収が最低3000円くらいからなのですが、ガソリン1リットルの価格は日本と同じぐらいなのですから、いくら働いても生活レベルの向上が有り得ないという不均衡を強いられているのです。

【やほい】
なるほど。つまり現地で調達できるものは現地レベルの価格でも、輸入に頼るものは先進国なみなのですから、便利を求めると暮らしに直結するダメージとなるわけですね。わたしも途上国で暮らしていたときに、「電気代が怖くて使えない」と、先進国から贈られた電子レンジが置物に化していた様子を目の当たりにしたことがあります。良かれと思って贈っても、その先の格差が想像できなければ、そんな結末となることを知り愕然としました。

今は先進国でぬくぬくと暮らしているわけですが、頭の片隅にはいつもその格差の現実がよぎります。アフリカの小国ギニアに不便を承知で飛び込んでいろんな活動をされている由美子さんに惹かれるのもそのたいへんさが実感できるからかもしれません。(苦笑)

【由美子】
すいません。あまり暗い話ばかりはしたくないのですが……(笑)

日本の常識を身に着けて生きてきた者として、今はギニアで半端なく酷いインフラの中で暮らすと、こうした格差を世界のみんなに知ってもらいたいという気持ちもわいてくるのです。

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町の様子/生活水を入れるポリタンク

ギニアでは電気、水道などまだまだ整備されておらず、電気は24時間ありません。それどころか電気、水道が無い家庭もたくさんあります。日に数時間、丸一日停電の日もあります。水道があっても水道局から水が来る時間帯がまちまちだったり、常に水が来るわけではないのが、ギニアの現実です。そして、地域ごとでの不平等に不満を持った人々が暴動を起こすこともあり、暮らすこと自体がドキドキ、イライラに溢れています。

【やほい】
まさに、暮らしそのものが大冒険と言えそうですね。それでも、ギニアで頑張っている由美子さんは、よほどギニアが好きなのですね。ギニアの何にそんなに魅せられるのですか?

【由美子】
それは、ズバリ!世界に誇る伝統音楽とダンスです。

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ギニアにジャンベを学びに来ていた外人さんたち

度重なる政情不安から、観光客はバックパッカーのみくらいなのですが、世界中からギニアに伝わる伝統楽器ジャンベ、アフリカンダンスを学びに来る外国人たちが多く訪れます。今や世界中の人から愛されている太鼓ジャンベやアフリカンダンスはこのギニアが発祥の地なのです。

子供の誕生、通過儀礼、結婚など人生の節目に行う祭りには太鼓とダンスが欠かせず、村だけでなく首都コナクリでも、そんな祭りが頻繁に行われています。

太鼓やその他の民族楽器は人々の生活に欠かせないもので、街を歩いていれば楽器を持って移動するミュージシャンに出くわします。

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ギニアのシャンべ/ジャンベを担いで街を歩く/ジャンベ奏者

ギニアには政府が運営している国立の舞踊団と地域ごとに私設舞踊団があり、そこでは選び抜かれたダンサーや音楽家が日々厳しい練習を行っています。

舞踊団は昔からギニアに伝わる各部族の伝統をダンスと音楽によって再現する目的や、人々に生きていく上での教訓を伝えるような役割を担っています。

【やほい】
いつも、由美子さんがシェアしてくれる動画で、ステキなダンス風景を拝見していますが、太鼓に合わせて跳ね跳ねに跳ねて踊る姿に魂を感じています。こうした踊りの練習や継承そのものが、家族や親戚の団結、絆にも繋がりそうですね。

【由美子】
それはあります。踊る者みんなが家族なのです。とにかく子供が多い‼赤ちゃんから、お年寄りまで家族の人数が多い‼️一軒の家に、親戚の親戚、誰がどんな繋がりなのかわからないくらいの遠縁の親戚や友達までが居候していたりする。ギニアでは突然予告なしで親戚が訪問したとしてももてなし、気軽に宿泊させたりします。

【やほい】
あら、サモアみたい。先進国になると個人主義になってしまいますが、やはり発展途上の国で生きるためには、家族、親戚、縁者が助け合わなければ生きていけないということもあるのかもしれません。日本も昔はそうだったような……。

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由美子さん家族

【由美子】
そうですね。昔の日本みたいです。一般の家庭の日常はまるで日本の時代劇のようです。子供は大人に絶対服従です。大人の言うことをよくききます。

近所の子供達が常にうじゃうじゃたむろし、そのお家でみんなでご飯をたべさせてもらったり、お家のママさんは近所の子供たちを自分の子供のように叱り、面倒を見ます。

7歳くらいの女の子が赤ちゃんを背負いながら洗濯板で洗濯をしていたり、小さな子の面倒を見て、朝から晩までお家のお手伝いをよくしています。ママさんと女の子たちは、庭先で炭で火を起こし、調理をします。手間がとてもかかるので、一度の食事の支度に3時間はかかります。たまに近所の女性などが加わり、ワイワイみんなでおしゃべりをしながらそんな時間がすぎていきます。

【やほい】人情溢れる古き良き時代が、今も現実ということですね。

【由美子】
そうです。人々がとにかく親切、陽気で人懐こいのです。子供がいればかならずあやし、面倒を見ようとしてくれます。公共の場で赤ちゃんがいても邪魔にはせずみんなで面倒を見ます。知らない相手にも気軽に声をかけ冗談を言ったり、ギニア人の人たちはとにかく陽気です。困っている人がいたらかならず助けようとし、分かち合いの精神で日々生活しています。

物乞いをする人も多くいますが、そういう人たちは堂々としていて、持っている者が分け与えるという事が当たり前とされているように見えます。

【やほい】
そんな話を聞くと、わたしたちが学んだり、実践したいと思えることもたくさんありそうですね。ギニアおもしろい国ですが、由美子さんがなぜそこにたどり着いたのかを聞いてもいいですか?

【由美子】
ギニアを最初に訪れたのは、2000年にギニアで開催された、世界的に活躍されている、ギニア出身のジャンベ奏者ママデイ ケイタさん主催のアフリカ太鼓ジャンベのワークショップに参加するためでした。

それまでギニアの事は全く知りませんでした。アメリカに仕事で行った際に、たまたまジャンベという楽器に出会った事で、その魅力にはまり、ジャンベ発祥の国、ギニアまで来る事になったのですが、実際ギニアに来てみたら、太鼓や音楽よりも、ギニアの魅力の全ての虜になってしまいました。

縁があって、その後でギニア国立舞踊団のダンサーである夫と結婚し、日本で10年一緒に暮らしました。その間に2人の子供が生まれ、彼らが成長するごとに、彼らにギニアの素晴しい伝統音楽文化をギニア現地で暮らしながら、肌で感じ、吸収しながらプロのミュージシャン、ダンサーとして立派に成長してもらいたいという願望が湧き出てきました。

ギニアのダンス、楽器のレッスンは世界中で人気があるので、本当に才能のあるプロの伝統音楽のミュージシャン、ダンサーになれば、日本国籍を持っている子供たちは、楽器の先生、ダンスの先生としても、世界のどこでもその技術才能で一人で生きていけるはずだと思ったのです。

【やほい】
なるほど。ほんとそうですね。音楽やアートは世界を平和的に繋ぐための格好の材料といえますよね。わたしの息子たちもその類の仕事をしていますのでますます共感を覚えますワ!

【由美子】
ジャンベとダンスは、知らない人と人が簡単に仲良くなれる平和の道具なんです、ギニアの楽器とダンスの力で世界中を旅をする事が出来るし、世界中に友達を作り仲間になり、しかもそれでお金も稼げるという素晴しいものだと思うのです。

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舞踊団でダンスを学ぶ娘(中央)/数グループの舞踊団を掛け持ちしてジャンベを学ぶ息子

そして、私は日本ではアフリカの布、服、楽器などを販売するお店を経営していたのですが、この仕事はギニアで生活をしながら現地の人と一緒に物を作りネット販売をすればやっていけるはずだと思い、店をたたみ、移住の決心を致しました。ギニアで暮らしている一番の理由は、子供達を世界に通用する一流レベルのギニアの伝統音楽のミュージシャン、ダンサーになれるような教育をさせるためです。

【やほい】
それは素晴しい。お子さんたちはパパとママのそれぞれの国を知ることもできて、この先、伝統音楽やダンスを通じて、「世界一ギニアと日本のことがわかる大人」になりそうですね。そうして世界でも一流のダンサー、ミュージシャンとなり、両国の架け橋になること、きっと近い将来、実現すると思います。最後に今いちばん力を入れている活動をご紹介いただけますか?

【由美子】
はい、ありがとうございます。イヌワリのギニアツアー・7月24日〜開催致しますギニアの大イベントである「タバスキの祭り」に合わせて、「ギニアならではのカルチャー体験ツアー」です。

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私が企画しているイヌワリアフリカ・ギニアツアー

タバスキ祭り体験、ギニアの占い師に未来を占ってもらう、おばあのギニア料理教室、エコソープ作り体験などなど他では経験できないギニアの魅力を味わって頂く旅。ご家族、お子様連れにも大変おすすめです。詳しくはHPをご覧下さい。

そしてアフリカンプリントを使い現地テーラーと共に作った素敵な服や雑貨、太鼓職人が作ったジャンベなどを扱うイヌワリアフリカ ネットショップも運営しているので、お気軽に覗いてやって下さい。

【やほい】
アフリカを知る旅とギニアからの直輸入の販売ってまさに、両国の架け橋ですね。これからも数々の活動頑張って下さい。楽しみにしています。

※参考ウェブサイト
ギニア現地法人イヌワリアフリカ HP 
ブログ「ジャンベの国 西アフリカ・ギニアから・Inuwali Africa」
イヌワリアフリカ主催ギニアツアー公式HP