結集力の集大成『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』

『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿 (光文社新書) 』(光文社新書)
ベルギー・栗田路子さん、スウェーデン・田中ティナさん、フランス・プラド夏樹さん、イギリス・冨久岡 ナヲさん、ドイツ・田口理穂さん、ニュージーランド・クローディアー真里さん、米国・片瀬ケイさん(著)

世界共通の危機「後世まで残すべき世界のコロナ対応」が日本語で読めます。

各国の在住ジャーナリスト、ライターによるリポートであり、現地の肌感覚でのコロナ禍がわかる書籍がでました。執筆者7名のうち6名が当サイトの登録ライターです。

日本で日本語ニュースしか見ない方、海外のニュースに疎い方たちには是非とも読んでほしい内容です。他国の対応を知ることで、今の日本を操っているリーダーたちがいかに国民に寄り添う姿勢と心が乏しく、保身のために科学を軽視したり、不誠実な対応をとっているか……と言わざるを得ないことが見えてきます。

コロナ禍において各国リーダーたちが、どんな言葉を用いて国民にメッセージを発信したかが克明に記されているため、日本のリーダーシップのありようを比べて読むのはおもしろいことです。日本のトップにたっている政治家たちは、他国と比べてリーダーとしてのじゅうぶんな言葉を持っているでしょうか? おもいやりのある発信を心がけているでしょうか?

他国対応を知ることで自国の不自然さも浮き彫りになることでしょう。

女性蔑視発言が大きな話題となっているなか、日本での女性に対する差別環境がさらに顕著となっています。一方この本の中に出てくる女性リーダーたちの、繊細な気配りとやさしさにあふれた言葉には、女性だからこそのパワーも滲み出ています。そのような能力を第一線で活かすことのできる国がまぶしく見えます。

基本的に性別で区別して語るのではなく、それぞれが個でなければならないことは前提ですが、NZのアダーン首相の発信のしかたを見れば、女性で子育て真っ只中のママだからこその視点がコロナ対応にも大いに活かされていることも伝わってきます。

日本はいまなお女性だからという理由で排除する社会をひきずっていることは、昨今の一部の男性リーダーたちの発言からも伺い知れますが、女性だからこその視点と細やかな配慮ができる人たちをどんどん取り込む姿勢が、よりバランスのとれた世の中に導くことは明白です。

性別問わず知性とやさしさ、人々の気持ちがわかる感性を備えている人こそがリーダーにふさわしいのです。

安心して生きることができる社会で、全ての境遇の人々が共存するためには、まずは心のある優れたリーダーシップが不可欠だということを痛感させてくれた書でもあります。

いろいろと考えさせてくれました。
キンドル版もありますので興味のある方は是非!!
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